・浄土 文庫化されたタイミングで読書。天才町田康の短編集、読者の心をつかみ、ゆさぶり、首しめるような全7編。 とりわけ「どぶさらえ」が最高。 「先ほどから、「ビバ!カッパ!」という文言が気に入って、家の中をぐるぐる歩きまわりながら「ビバ!カッパ!」「ビバ!カッパ!」と叫んでいる。 なぜ気に入ったかというと、単純に「ビバ!カッパ!」という音の響きが連なりが気に入ったからだけれども、ただそれだけならこんなに何度も言わせない。せいぜい水道水をカップに入れ、ぐいと飲み干したる後、「ビバ!カッパ!」と一声叫んでそれで終わりだろう、それをばこうして何度も何度も言うというのは、そのビバ、カッパ。という文章に明確なビジョンが伴っているからである。」という出だしで始まる怨念の小説。 この感覚、実によくわかるのだ。この現象は私にもときどき起こるから。私の場合「寒山拾得」「六根清浄」「十返舎一九」など小さな「っ