「船上基地局」とは、船舶の上に携帯電話の基地局を積み、海上から陸上にアンテナを向けて電波を送信して沿岸のエリアをカバーする通信技術や設備のこと。地上以外の場所から通信をカバーする非地上系ネットワークシステムの1つであり、最大で停泊場所から半径数キロメートルのエリアをカバーできる。 船上基地局が使われるのは主に大規模な災害の発生時だ。陸上にある通常の基地局が被災して停波した場合、通信会社は車両型の移動基地局車や可搬型の基地局などを使って応急的な復旧を目指すことが多い。ただ被災地への道路が寸断されるなどして、仮復旧にも時間を要する場合もある。停波エリアが沿岸部であれば、船上基地局を使うことで車両型や可搬型よりも早期に仮復旧できる可能性がある。 船上基地局を運用するには、基本的に総務省から無線局の開設免許を得る必要がある。ただし災害時は「臨機の措置」と呼ばれる特例に基づき、総務省の各総合通信局長