「パタハラ」という言葉をご存じだろうか。パタニティー・ハラスメントの略で、パタニティとは英語で「父性」のこと。父親とはこうであるべきだ、と決めつけて、育児参加を阻む、いわば「マタハラ」(マタニティ・ハラスメント)の男性版なのだ。男性が、育休取得や育児のために短時間勤務制度を利用しようとすると、職場の上司や同僚が妨害したり、降格など人事面でも様々な嫌がらせをすることを指す。 女性が妊娠出産を理由に不利益を被る「マタハラ」は知られているが、あまり実態の見えてこないパタハラに迫ってみたいと思う。(ルポライター・樋田敦子) ●「お前のガキなんか1円にもならないんだよ」とパタハラ東北地方に住む会社員の山田和夫さん(37歳)=仮名=は、5年前、学習塾を運営する会社に勤務しているときにパタハラを受けたという。1日12時間労働が当たり前のブラック企業で、複数の塾を統括する営業職をしていた。 「公務員の妻が