「うわぁ、それかぁ」 「あー、取られたぁ」 POGドラフトシーズンには、こんな嘆き節が競馬ファンの間でしばしばあがる。そしてどのドラフトでも注目の的になる血統、牝系がいくつかある。そのひとつにあがるのが、ダイナカール一族。ダイナカールではピンとこない若者もエアグルーヴ一族と記せば合点がいくだろう。 1980年代の社台ファームを支えたノーザンテーストとシャダイフェザーとの間にうまれたダイナカール。そのダイナカールに凱旋門賞馬トニービンを交配して誕生したエアグルーヴは、90年代後半、牡馬と互角に戦う逞しさと時折垣間見える牝馬らしい繊細さで、ファンを魅了した。 そのエアグルーヴの初仔、日本の競馬界に革命を起こしたサンデーサイレンスを父に持つアドマイヤグルーヴは、セレクトセールで当時最高価格となる2億3千万円で落札された。母譲りの脚が長くスマートで美しい馬体に我々はやられたものだ。 母の繊細さまで