野球は、相手があるスポーツだ。いくら150キロの球を投げても、豪快なフルスイングをしても、打たれたり、空振りをしたりしていては、勝つことはできない。自分のやりたいことではなく、相手の嫌がることをやる。相手の心理や弱点を突き、勝つために最善の策を考えるのが指揮官の役割だ。 それを実践しているのが明徳義塾・馬淵史郎監督。積み上げた甲子園通算勝利は歴代6位の50を数える。相手をじっくりと分析したうえで、どうすれば勝つ可能性が高くなるかを考えるのが馬淵監督の腕の見せどころ。その結果が、夏の甲子園に初出場した1990年から2014年まで続いた初戦15連勝につながった。ルールを守ったうえで、どうすれば勝てるかを考えるのが監督の仕事。百戦錬磨の馬淵監督の考える、勝つための方法とは? この人が何かすると、スタンドがざわつく。たとえそれが、常識的な作戦であっても。 「オレは悪役だからな」 そう言って苦笑いす