先回は「産業界はアベノミクスを歓迎するのか」という観点から、「前政権に比べれば少しは頼りになりそうだと感じてはいるが、大規模な金融緩和や財政出動については期待より不安の方が多いだろう」という趣旨の事を書いたが、これは「現状の平板な推測」に過ぎず、言わば「どうでもいい事」だ。 一部の自称マクロ経済学者は、「自分のいう通りにしたら経済はたちまち良くなり、日本は成長路線に乗る」と言わんがばかりの事を言っているが、本当に自分達にそんな力があると思っているのだろうか? 投機筋の思惑で動く「為替」や「株」の事だけでなく、「実体経済」を動かす産業界の現実を、彼等は果たしてどれだけ理解しているのだろうか? 今経済が停滞しているのは、「金融緩和」が十分でないからでもなく、「公共投資」が十分でないからでもない(まさか、本当にそんな風に思っている能天気な人はいないだろうが)。問題の根幹は、徐々に国際競争力を失い