新しい本を読みはじめるときは、特に意識はしていなくても、もしかしたらこれは自分にとって重要な1冊になるかもしれない、という期待を持っている気がする。 とても面白いということと、重要というのは少し違っていて、重要のほうはなんというか、腑に落ちるところがあるという意味に近い。そして、この「ハーモニー」は自分にとってその両方がある本だったと思う。思う、っていうのはもう腑に落ちてしまったので、だから面白いのか小説として面白いのかよくわからなくなっているからなのだけど、でも、小説としてもとても好みだったのは確かだ。 21世紀後半〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。 この社会に暮らす人々は、大人になると体内に「WatchMe」と呼ばれるナノマシンを入れ、「生府」に健康(その他もろもろ)を監視されるようになる。 リソース意識。 人はその社会的感覚というか義