例えば抹茶は分かりやすくおいしいものではない(と思っている)が,「飲み物なのにおいしくないってどうなんだろう」とふと思った。抹茶を飲む時は,飲み物としての価値ではなく,何か別のものとしての価値を見つけなくてはならなくなる。茶道を語る人間が味の話をあまりしないことは多分わざとではなく,茶道自体に味以外の構成要素が多すぎて,本来主役であるはずのお茶の味の話の比重が低いのである。その構成要素の多さが茶道の仰々しさそのものだったりするのだが,もはやお茶の味そのものの美点の話ではなくなっている。*1 飲み物食べ物にとって味が価値基準なのはよく分かる。「みんなとご飯を食べると楽しい」というよりは「みんなと一緒に食べるとおいしい」みたいな表現をするのも一つの例だ。食べることと直接に結びついているのは味で,「おいしい」は明らかに是だ。「食べ物なのにおいしくない」ものはネタと化していたりして,(あるとすれば