私の顔は美しくはない。少なくともよそで顔を褒められたことはないし、芸能事務所からスカウトが来たこともない。良くて中の下、悪けりゃ下の下、そのくらいの顔であろう。 ルッキズムをどれだけ声高に否定しても、世の中はそうやって動いているのだから「適応」しなければしんどい生き方を強いられてしまう。美しく生まれなかった私は「顔で判断しないで!」とぜひ言いたいのだけれど、そう主張したところで、恐らくは「必死なブスは醜い」で一蹴されてしまうだろう。 しかし、それでも私は大好きなサンローランの口紅を使う。正直、私の顔のレベルでは、使うのがたとえ100円ショップの口紅だって大差はないだろう。それでも使う。それは私が「装う」という行為を、外に向けた行為ではなく、内に向けた行為、自分のための行為だと信じているからだ。 私は長らく服に気を使ってこなかった。とりあえず楽に動ける服ならなんでもよくて、寒がりだから暖かさ