1.「アリとキリギリス」を巡っての日本人論 「蝉と蟻たち」の話は、日本でも大変有名な話だと思いますが、ただ、題名は、 「アリとキリギリス」となっていることも、多いようです。 ところで、この寓話の結末なのですが、皆さんの読んだ話はどのようなものだった でしょうか? アリはキリギリスに食べ物を、 「1.分けてやる」 「2.分けてやらない」 この結末の違いについては、比較文学などの立場から、色々と取り沙汰され、ひいて は、日本人論にまで発展することが、ままあるようです。 そこで、今回は、アリとキリギリスについて、一体どのような議論がなされているの か、また、その議論の問題点などについて、考えてみたいと思います。 次の湯沢雍彦氏(お茶の水女子大学教授)の論文は、朝日新聞に掲載されていたもの なのですが、この論文には、これらの問題が凝縮されておりますので、まずこの論文 をご覧下さい。 1993年6月