NEW 書評 2024/2/5 梅田 孝太 厄介なあのひとにも事情がある 鈴木祐丞『キェルケゴール―生の苦悩に向き合う哲学』書評
「多様な世界に目を向けよう」。 これは「双書Zero」が読者のみなさんに届けたい、ひとつの大切なメッセージです。 なぜなら、自分の見たいものしか見ない人が増えているような気がするから。 どうして、自分の好きな小さな世界にいることが、もったいないのか。 どうすれば、自分を世界に開いていけるのか。 アカデミズムの枠を超えて活躍する、宮台真司氏と森岡正博氏に聞いてみた。 ――現代は、これだけメディアが多様化しているにもかかわらず、仲間ごとに小さくまとまり、内閉しているように見受けられます。その弊害をどのように乗り越えていけばよいのでしょうか。 宮台 まず押さえたいのは、論壇誌はなぜ凋落したのかということと、人文系のウェブサイトはなぜ活況を呈しているのか、です。 「オピニオン・リーダー」の概念で有名な社会心理学者ポール・ラザースフェルドが、一九五〇年代に「コミュニケーションの二段の流れの仮説」を提
NEW ためし読み 2024/8/20 岸 圭介 そのことばは子どもに正しく伝わっていますか?――ことばの「意味」と「価値」を伝える教育 『学力は「ごめんなさい」にあらわれる』より「はじめに」を公開!
インターネットによってすべての人に学ぶ可能性がひらかれ、ブログが名刺になり、ネットでの評判がパワーとなる。過去に何をなしたかではなく、いま何ができるかだけが勝負の「新しい世界」の到来。日本社会との齟齬はないのか? 談合型エスタブリッシュメント社会をぶち壊し、新世界の側・ネットの側に賭けよう。未来創造の意志をもって疾走しよう。フューチャリストの二人が、ウェブのインパクトと無限の可能性を語り倒す。 フューチャリスト宣言 第1章 黒船がやってきた!媒体を自分で持てる快感/グーグルの画面は深い思想に基づいている/ウィキペディアが日本から出なかったのはなぜか/公共性と利他性がインターネットの特質/ネットがセレンディピティを促進する/ウェブは脳の報酬系を活性化させる/シリコンバレーのルーツは反権威/世界史の四つ目のリンゴ/ヒューマン・ネイチャーを理解する/アメリカの社会風土がそもそも2・0的/リアルが
さようなら杉浦日向子さん 一九八二年、「ガロ」からマンガ家デビューして間もない杉浦さんとあった。可愛らしい色白のお嬢さんで、大きな目をクリクリッと動かしながら語る吉原や川柳の話はとても魅力的だった。それからは、読者として、江戸や明治に材をとったマンガ作品を楽しませてもらった。また、編集者として、エッセイ集やマンガ集など、二十数冊の本をまとめさせてもらった。 八六年、赤瀬川原平さん、藤森照信さん、南伸坊さんたちと路上観察学会を結成したとき、唯一の女性会員として参加してくれた。一緒に各地を旅行したが、町歩きを心底楽しんでいる姿が印象的だった。 九三年、「血液の免疫系の難病なんです」と告白された。骨髄移植以外に完治する方法はなく、体力的に無理が利かないのでマンガ家を引退することなどを淡々と話してくれた。それ以来、筆を折ることになったが、江戸や明治の生活風俗をていねいに描いたマンガ作品は、今でも燦
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