こ、これはすごい。ロックだ。童貞男がロックを聴くということが余すところなく漫画として描かれている。劇中の演奏はほとんど関係なく、根岸の煩悶とそこからのカタルシスがすべて。あーいや、だからロック漫画というかこれはメタロック漫画か。 ある意味18歳以上推奨。なぜなら高校を卒業して新入生歓迎コンパで「音楽とかなに系聴くのぉ」「あたし何でもぉ、強いて言えば**系?」「あぁ、いいよねぇ」みたいな内容のない会話を交わしているときの童貞男の屈折した感情がわかるかどうかで、この漫画への共感度が違うからだ。 ジレンマを味わうクラウザーさんがなんかおもしろい、というのは女子の読み方だ。 ロックを聴く童貞男の中にはもれなくクラウザーさんが住んでいて、この漫画はそれぞれのクラウザーさんの眠る扉をノックしてまわるのだった。おれもおれの内なるクラウザーさんのことを久しぶりに思いだした。 読み始めたときは「なんだこれ、