人間は誰しもずるをしたり、うそをついたりするものだ。どのようなメカニズムで起こるのか。行動経済学者がユニークな実験を基に解明する。 インパクトのあるタイトルとは裏腹に、学術的な分析と調査に基づき、「不正」に対する人間のユニークな行動パターンについて考察を加えているのが本書である。 一般的に、大多数の人間は、不正をするのは一握りの悪人だけであり、自分自身は正直者だと思っている。しかし、本当は誰もが程度の差こそあれ、「ずる」をしたり、うそをついたりする。そして、その小さなごまかしが大きな不正につながることもあるのだという。本書の冒頭では、粉飾決算が明るみに出て2001年に破たんした米Enronのエピソードに触れられているが、誰しもが同社のCEOやCFOのような“悪人”になる恐れがあることを暗に示唆している。 不正はなぜ起きるのだろうか。これまでの合理的経済学においては、シカゴ大学の経済学者でノ