暖簾をくぐると、花番と呼ばれる接客係の女性たちが、席の案内から注文、給仕とてきぱき対応してくれる。その心地よさに常連になった人も少なくない。飾り気がなく、掃除の行き届いた「並木 藪蕎麦」で、池波正太郎は鴨なんばん、山口瞳は冬は鴨ぬき(そばぬきの鴨なんばん)、冬以外は天ぬき(そばぬきの天ぷらそば)を肴に酒を飲むのがお気に入りだった。 つい立ち寄りたくなる東京の老舗「並木 藪蕎麦」の佇まい 入り口から蕎麦屋の究極の美学が匂い立つ 「最近はお客様のほうがよくご存じで、品書きにない鴨ぬきや天ぬきをあたりまえのように注文されます」と3代目となる堀田浩二さん。初代は明治の末に京橋で創業。それから間もなく大正2年に、雷門から通じる並木通りの現在地に店を構えた。 江戸っ子がざるそばを食べるとき、少ししかつゆにつけないのは、つゆがからかったからという説がある。東京一からいと言われる「並木藪蕎麦」のつゆをいた
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