戦後の米文学の傑作の一つ、小説「アラバマ物語」の作者、ハーパー・リーさん(89)が今月中旬、続編の「ゴー・セット・ア・ウォッチマン(見張り人を立てよ)」を出版し、米社会に衝撃が広がっている。アラバマ物語で模範的に描かれた主人公が、人種差別主義者として登場するためだ。 米メディアによると、アラバマ物語は人種差別が激しい1930年代の南部アラバマ州を舞台に、白人女性への強姦(ごうかん)容疑で逮捕された黒人青年を弁護するアティカス・フィンチらを、その娘スカウトの視線から描いた。作品の影響で、子どもにアティカスと名付けたり、法律家を志したりする人も出るほどだった。ピュリツァー賞を受賞し、映画化もされた。 今回の「見張り人」では、アティカスは白人至上主義団体に参加する人物として描かれている。ワシントン・ポストは「読むのがつらかった」と悲しむ女性の声を紹介する一方で、サウスカロライナ州の教会で白人至上