台湾南部の地震で倒壊した台南市のマンションで８日午後５時２０分（日本時間同６時２０分）ごろ、６日未明の発生から約６１時間ぶりに８歳の少女が救出された。この日は４人が助けられたが、被災者の生存率が下がるとされる発生後７２時間は９日未明。なお１２０人が閉じ込められているとみられ、当局は捜索活動を続けている。 「急げ！　早く救急車へ！」。ピンクの毛布で頭を覆われた林素琴さん（８）が、がれきの中から運び出されると、取り囲んだ救助隊員らが大声を上げた。意識ははっきりしており、台湾メディアによると「水が飲みたい」と話したという。 隊員らは林さんの乗った担架を慎重にハシゴから下ろし、待機していた医師が治療の優先順位を決めるトリアージを取り付けた。緊急治療が必要なことを示す「赤」だった。林さんが救出された直後には同室から外国人ヘルパーの女性（２８）も救出された。 ８日正午ごろには、マンションの南側から李宗

台湾南部を襲った地震で倒壊した台南市のマンションで８日正午（日本時間午後１時）ごろ、６日未明の発生から約５６時間ぶりに男性が救出された。命に別条はないという。現場にはなお約１２０人が閉じ込められていると見られ、当局は重機でがれきを撤去しながら捜索活動を進めている。 「加油（がんばれ）！、加油！」。３０時間に及ぶ救出劇の末に運び出された李宗典さんがクレーンで下ろされると、取り囲んだ人たちから大きな声が上がった。現場にいた郭国文・台南市議によると、叫んだのは李さんの姉。李さんは意識はしっかりしており、姉の名前を呼んだという。 マンションはいくつかの棟が連なる構造で、李さんは南端に近い棟に住んでいた。７日午前に見つかったが、がれきに埋もれており、救助作業は難航。点滴を受けながら助けを待った。台南市の頼清徳市長によると、一時は押しつぶされた足を切断して救助することも検討したが、十分な空間がなく断念

拡大する リオのカーニバルのメインパレードで五輪をテーマにした踊りや山車も登場した＝７日夜、ブラジル・リオデジャネイロ、西畑志朗撮影 ８月に五輪開幕を控えたブラジル・リオデジャネイロのカーニバルで７日夜、歌と踊りのレベルが最も高い名門チームによるパレードが始まった。五輪マークや聖火のトーチをかたどった山車の行進で幕が切られ、スポーツの祭典の開催地をアピールした。 ８日までの２日間に計１２のチームが踊りや山車の出来栄えを競い合う。出場チームの一つ「ウニアン・ダ・イリャ」は五輪をテーマにした踊りや山車を披露。五輪発祥の地ギリシャの神々がリオの街を訪れ、サンバのリズムに酔いしれる様子などを表現した。 「競技が始まる。私たちはもう兄弟」と歌うサンバの曲をつくったチーム幹部のアウベルト・バチスタさん（６１）は「五輪では笑顔と喜びで世界中の人々を歓迎したい。情熱的で人なつっこいリオの人々と街の魅力を感

北朝鮮のミサイル発射を受け、安倍晋三首相は８日の政府・与党連絡会議で「拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のため、我が国独自の措置を科す方針を固めた。具体的中身の検討を速やかに進め、北朝鮮に対し、毅然（きぜん）かつ断固たる措置をとっていく」と述べ、独自制裁の検討を急ぐ考えを強調した。 岸田文雄外相も８日午前の衆院予算委員会で「北朝鮮に強いメッセージを発することが重要だ」とし、「総理の指示も受け、我が国独自の措置についても検討している。速やかに検討を行いたい」と答弁した。北朝鮮による拉致被害者の調査再開を受けて２０１４年に一部解除した往来や送金の規制を、元に戻すことなどを検討する。 独自制裁に踏み切る考えを明確にする背景には、国連安全保障理事会での議論を後押しする狙いもありそうだ。菅義偉官房長官は８日午前の記者会見で、安保理が北朝鮮を非難する報道声明を出したことを受け、「安保理にお

国連安全保障理事会が北朝鮮を非難する報道声明を出したことを受け、菅義偉官房長官は８日午前の記者会見で、「安保理における議論を加速し、強力な決議を速やかに採択する必要性が一層高まっている。強い措置を含む決議の迅速な採択に向け、関係国と現在、緊密な連携を行っている」と述べた。日本政府は安保理での制裁決議に向けた議論を国際社会に呼びかけつつ、日本独自の制裁の検討も急いでいる。 岸田文雄外相も８日朝、記者団に対し、声明が新たな安保理決議を「迅速に採択する」としていると指摘。「この『迅速に』という部分がポイントだ」として、北朝鮮制裁決議の採択を急ぐ必要性を強調した。 また、岸田氏は８日午前の衆院予算委員会で「北朝鮮に強いメッセージを発することが重要だ」とし、「我が国独自の制裁についても速やかに検討していきたい」と答弁。独自制裁に踏み切る考えを明確にすることで、安保理での議論を後押しする狙いもありそう

北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射実験を強行した。技術の進歩をうかがわせ、韓国政府は「成功」と認めた。北朝鮮の核・ミサイルは、核弾頭を小型化し、米本土へ到達可能にするのが目標とされる。金正恩（キムジョンウン）第１書記が開発に突き進むのは、独裁体制を引き締める意図もあるとみられる。 韓国の情報機関、国家情報院は７日の国会報告で、今回使った機体は、前回と同様、１段目に中距離弾道ミサイルのノドン、２段目に短距離弾道ミサイルのスカッドを使った「テポドン２改良型」とほぼ同じ型だとみていると報告。推定飛距離は５５００キロ以上で、機体分離や誘導など、大陸間弾道弾（ＩＣＢＭ）に必要な技術を「相当程度蓄積した」との見方を示した。 人工衛星を打ち上げるロケットと弾道ミサイルの構造は酷似している。長距離弾道ミサイルは高度１千キロまで上昇後、放物線を描いて目標地点に弾頭を誘導する。人工衛星は通常、高度数百キロでロケ

米大統領選の共和党候補による第８回テレビ討論会が６日、３日後に予備選を控えた東部ニューハンプシャー州であった。北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射については、発射台のミサイルを先制破壊する主張など強硬論が目立った。中国に関与を強めるよう求める声も相次いだ。 発射の一報は、討論会の開始とほぼ重なった。全米規模の世論調査で首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏（６９）は「中国は特に北朝鮮について絶対的な影響力を持つ。私なら中国とうまくやり、問題解決をやらせる」と主張。外交を得意とするマルコ・ルビオ上院議員（４４）も、北朝鮮の資金源を細らせるよう中国に影響力行使を働きかける考えを示した。 保守強硬派で知られ、世論調査２位のテッド・クルーズ上院議員（４５）はミサイル防衛の強化を唱えた。一方、司会者からの「最高司令官として発射台上のミサイルの先制破壊を指示するか」との質問には、「情勢についての機

ベトナム戦争の終結から４０年余。米軍がまいた「枯れ葉剤」の被害とされる重度の障害に苦しむ人々を訪ね歩く淡路島の元高校教師がいる。ベトナム全土をくまなく歩き、１千人超の被害者と接した。世代を超えて人体に刻まれた惨禍の記録を、今春にも日英越３カ国語で出版する。 重い障害、生活困窮 兵庫県洲本市の西村洋一さん（７３）がベトナムの枯れ葉剤被害者を回って、今年で１５年になる。 結合胎児、四肢の欠損や変形、巨大な腫瘍（しゅよう）、骨格や臓器の異常。複数の障害者がいる家庭も多い。福祉も十分ではなく、ほとんどの被害者は困窮を極める生活を強いられていた。両隣の家の壁に棒を渡し、シートを掛けただけの雨よけの下、すのこ状のベッドに垂れ流しのまま寝かされていた人もいた。 現地で雇った助手や運転手の助けを借りて近所の人に聞き込み、重い障害がある人を探し当て、家族や本人の承諾を得て撮影する。集会で枯れ葉剤の被害を訴え