世界的な大富豪として知られる香港の複合企業「長江和記実業」主席の李嘉誠氏(89)が16日、高齢を理由に今年5月に経営から引退すると発表した。後継者には、長男で副主席の李沢鉅(ビクター・リー)氏が就く。李氏は一代で巨大企業グループを築き、香港の経済界を代表する名経営者だった。東日本大震災の被災地に100万米ドルを寄付したことで知られる。 16日に香港であった同社の2017年12月期の決算発表で明らかにした。李氏は「私は12歳から78年近く働いてきた。若い人にも自分同様、チャンスがある。自分で競争力を高めてほしい」と呼びかけ、世代交代を進める考えを示した。 李氏は中国広東省から香港に移り住み、貧しい少年時代を過ごしたが、プラスチックの造花「ホンコンフラワー」のビジネスで成功。その後は不動産などに事業を拡大した。米フォーブス誌のランキングによると、資産は約350億ドル(約3兆7千億円)で香港一。