そう、それでペンローズの「不完全性定理を利用した強いAI論への反駁」の何が問題なのかをようやく理解したもののこれを説明するのは大変だ。 「到達不可能基数の存在は ZFC から独立である」 これは論理学の専門家でもよく勘違いしてしまう誤りです。というのは、到達不可能基数の存在は、通常の数学がすべて展開できるとされる ZFC から導くこと (つまり証明すること)は出来ません。これは有名な事実ですが、この事実を念頭に、つい「独立である」と言ってしまうようです。 ある命題がある公理系から独立であるというのは (標準的な論理学の用語法では)、その命題の肯定も否定も公理系から導かれないことです。つまり、到達不可能基数の存在が ZFC から独立である為には、その存在が ZFC から導かれないだけではなく、その不存在もまた ZFC から導かれないことが必要なのです。 ZFC から到達不可能基数の不存在が導