7月にシリア政府の軍事・公安の高官4人が殺害される事件が起きた。首都ダマスカスの治安本部での爆弾テロは、複雑なシリア情勢の縮図であり、謎が謎を呼ぶシリア危機の本質にかかわるものだ。 下手人については3つの異なる解釈がある。殺害されたのは、バッシャール・アサド大統領の義理の兄弟アーセフ・シャウカト国防副大臣、ダウード・ラージヒ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、ヒシャーム・イフティヤール国家治安局長官といういずれも重量級なだけに、憶測を交えて死の真相が取り沙汰された。 第1の解釈は、CIAとモサドの情報工作筋の仕業だとする陰謀論である。第2は反体制派武装組織「自由シリア軍(FSA)」の工作だというものである。だが、興味深いのは第3の解釈であろう。それは、アサド大統領の決断として、シリアの一般市民に対する力の行使に反対した体制内部の指導者たちを粛清したというものだ。 第3の解釈こそ可