ロン毛にベルボトムスにピースサイン。“ラブ&ピース”を纏うだけで彼らは犯罪者となる。ロックレコードを聴くだけで、禁じられた本を持つだけで、逮捕のリスクがつきまとう。それでも彼らは法の目をかいくぐり、“フリーダム”を求めた。 これは、自由な主張が奪われた共産主義国家・旧ソ連にひっそりと、いや、それでも確かにしっかりと生きた「東のヒッピー」の話だ。 社会主義が作り上げた「見えないヒッピー」 「“目に見える(visible: ビジブル)”か、“目に見えない(invisible: インビジブル)”か。それが東と西のヒッピーの違い。東のヒッピーは“インビジブル”な存在だった」 鉄のカーテンの向こう側にあった1960年代後半の旧ソビエト連合。冷戦真っ只中、身なりや振る舞い、労働倫理だけでなく、思想や愛のカタチでさえも「こうでなくてはいけない」という制約だらけの社会で、ソビエトヒッピーたちは身を潜めてい