■対立の構図 代理戦争の様相 アラブの春がリビアに波及したのは2011年2月。カダフィ政権打倒を目指す大規模デモが発生し、カダフィ派と反カダフィ派で対立が激化した。NATOによる空爆もあり、同年10月、40年以上続いた独裁政治は、カダフィ氏殺害で幕を引いた。 しかし、その後の国家再建への国際的関心は薄く、圧政下で抑えられてきた地方の有力集団や部族勢力が各地に割拠し、国土は分裂状態に陥った。 14年6月の暫定議会選で、東部トブルクで招集された議会をリビア西部にある首都トリポリ側は認めず、その後トリポリとトブルクを拠点とする2つの政治勢力の対立構造が生まれた。国連の仲介で15年12月に統一政府の樹立が合意され、トリポリに暫定政府が発足したが、東部トブルク議会はこれを拒否。現在に至るまで二大勢力の抗争が続いている。 国連は2011年に武器禁輸措置を課したが、リビアの豊富な埋蔵量を誇る石油・天然ガ