2024年2月9日より公開中の三宅唱監督最新作『夜明けのすべて』。瀬尾まいこ氏の原作を出発点に、その中心に上白石萌音と松村北斗というふたりのキャストを置き、さらには光石研をはじめとする数多くのキャストによって形を成した本作は、日常の小さな出来事に無限の宇宙を見出すような佇まいで多くの観客を迎え入れている。はたしてこの映画の作法はどのように見出されたのか。『ドライブ・マイ・カー』、『ケイコ 目を澄ませて』をめぐる鼎談に引き続き、映画研究者の三浦哲哉氏と映画監督の濱口竜介監督、そして三宅唱監督による本作をめぐる最新鼎談をお送りする。『夜明けのすべて』のもたらす大いなる喜びや希望に導かれるように、一本の映画作品をめぐる3人の言葉はおおらかに紡がれた。 (本記事は全編にわたって映画の内容に触れています。ご鑑賞後に記事をお読みいただくことをお勧めいたします) ■映画をどこから始めるか 濱口竜介:試写