地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。 ●【書評】アレクサンドル・ドゥーギン 『地政学の基礎 ロシアの地政学的未来/空間を持って思考する』 モスクワ、1999年、 928頁。 黒岩幸子 岩手県立大准教授 Ⅲ 第3部からは、ネオ・ユーラシア主義の具体的な地勢戦略が開陳される。ここでは、アメリカとNATOが具現する海洋勢力の攻勢に対し、ロシアを中心とするユーラシア大陸勢力が、いかに守勢から反転していくかが至上命題とされ、この目的達成のための外交政策が第4部で、国内政策が第5部で展開される。 冷戦終結とソ連邦崩壊後の現代世界も、マッキンダーやスパイクマン (Nichelas Spykman,1893-1943)が定着させた才一ソドックスな地政学の概念で捉えられ、それによると、ロシアが位置するハートランドを制覇するために、海洋