十で神童 十五で才子 二十歳過ぎれば只の人。 昔の人は、上手いこと言う。 天才と呼ばれる子であっても、大人となるにつれ凡庸になるさまは、我々の身近でも良く見かける。 天才少女がそのまま成長し、オリンピックという途方もない舞台でメダルを獲得した卓球の愛ちゃんなんぞはとんでもなくエライ。 愛ちゃんみたいな例は結構稀で、大多数の天才が大人になるにつれ凡夫として生きてゆく。 そうなる理由は様々あるが、私が思うに四つの理由に分類される。 まず一つが、周りが天才に追いつく。 要は、割り算が出来る幼稚園児は天才であるが、小学三年生で出来ても普通であるし、三十歳もとうに過ぎた私が『割り算出来る!』と言ったところで、だから何なん。という話になる。 次に、世界が広くなる。 いわゆる、井の中の蛙というやつで、三十人のクラスの中では天才的に足が速くても、百人が参加する運動会では三番目位になり、中学校でもっと人数が