« 敝の画数について | Main | 『名家による尺牘と臨書作品』展を見る » 2007年04月11日 …【明朝体の様式】 墨溜りの効用(1) 敝の画数問題について述べた。漢和辞典では部首「攴」の8画,しかし同じ字形が部分になっている文字の中には,これを7画に数えるものもあり,ほんとうは7画に数えるべきではないか,という意見は頷ける。干禄字書にも「弊」,「鼈」が載っているが,正字はこの部分を7画に数える筆法である。 どちらの説を採るかは別として,少なくとも画数・筆順などの基本属性をできるだけ正しく表現する努力をすべきなのが明朝体という書体に課せられた義務である。「墨溜り」というのは,そのためのきわめて有力なツールであることは強調してよいであろう。 この「墨溜り」については次回以降でやや詳しく述べたいと思う。しかしその前に,より卑近な字例を挙げておきたい。次の文字を見ていただきたい。