警察が記者クラブで事件の容疑者や被害者の「実名発表」をし、それを元に新聞やテレビが「実名報道」する。明治から続く記者クラブシステムに限界が来ています。 「実名発表」から「実名報道」への流れとそれぞれの論理や相違点を説明した前回の記事「京アニ放火事件の実名報道とやまゆりの実名発表の違い」で、デジタル時代の新たな論点として2つ挙げました。 ネットで情報が拡散し、検索され、アーカイブされる中で、実名を報じられることの影響をどう考えるのか。ネットがこれだけ発達しているのに、警察の実名発表の場は従来の記者クラブのままで良いのか。それぞれについて見てみます。 実名を公開される不利益が拡大前回詳しく説明したように、「実名発表」と「実名報道」をそれぞれ原則とする警察も報道機関も、被害者側への配慮を理由に匿名にするケースがあることでは一致しています。名前が知られることで、嫌がらせや新たな犯罪に巻き込まれる恐