インターネットに掲示するにあたって 嫡出推定制度について論じたこの論文「嫡出推定・否認制度の将来」は、12年前の1995年に執筆したものである。この論文を執筆した当時には、下級審判例は、家庭破綻説などを採用して、嫡出推定制度をほとんど機能させない解釈をとる下級審判例も多かったが、その後、最高裁は、夫の申し立てた父子関係不存在確認請求を棄却して外観説の立場に立ち続けることを明らかにした(最高裁平成10年8月31日判決、最高裁平成12年3月14日判決等)。学説においても、より嫡出推定の効力を強めた新・家庭破綻説が提唱される等、裁判実務や民法学者の間では、嫡出推定制度の存在意義については、ある程度コンセンサスがあるものといえるだろう。 最近、離婚後に出産した子に嫡出推定がかかってしまういわゆる「300日問題」について、民法の嫡出推定制度がマスコミに取り上げられることが増えた。しかし「100年以上