ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (5)

  • 『タテの国』の著者による、100年ごとに5万年後の未来までを観測するド真ん中で壮大な規模のSF長篇──『未来経過観測員』 - 基本読書

    未来経過観測員 (角川書店単行) 作者:田中 空KADOKAWAAmazonこの『未来経過観測員』は、縦読みならではの物語を構築し次々と明らかになる世界の真の姿、無限構造の物語を描きだしてみせた漫画『タテの国』や宇宙をさまよい、偶然出会った無人の宇宙船同士で元素を奪い合う闘争を描いた短篇『さいごの宇宙船』など格的なSF漫画を次々と発表してきた田中空のはじめての小説作品だ。 もともと表題作の『未来経過観測員』がカクヨムにて掲載され人気となっていた。書はそこに短篇「ボディーアーマーと夏目漱石」が書き下ろし&追加された一冊になる。もともと『タテの国』などの作品を読んで今どき珍しいぐらいにド直球に「世界の真の姿」「宇宙の果ての果て」、「世界の終わり」に挑みかかるような作家で(そういう意味でいうと、タイプとしては劉慈欣やステープルドンを彷彿とさせる作風ではある)どの漫画もたいへん楽しく読んでい

    『タテの国』の著者による、100年ごとに5万年後の未来までを観測するド真ん中で壮大な規模のSF長篇──『未来経過観測員』 - 基本読書
  • 『火星の人』の著者最新作にして、宇宙SF&宇宙生物学SFの傑作長篇──『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 - 基本読書

    プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、火星に一人取り残されてしまった男の決死のサバイブを描くハード・宇宙開発SF『火星の人』でデビュー&大ヒットした、(リドリー・スコットの映画も傑作だった)アンディ・ウィアーの最新作。国では売上も評価もよく、ビル・ゲイツの今年の5冊に選ばれ、映画化権も取得されライアン・ゴズリング主演の映画化も進行中など、すでにヒット・ロードに乗っている。 今回はすでに英語版での評判が漏れ伝わってきていたし、日での(版元の早川書房の)プロモーションも気合入っているな(翻訳SFとしては珍しい単行での刊行)と思っていたので最初から高まっていたのだが、読んでみればいやはやこれが期待通りの作品である。扱うテーマや題材、舞台そのものは『火星の人』と大きく異なっていて、新たな領域を開拓しているが(

    『火星の人』の著者最新作にして、宇宙SF&宇宙生物学SFの傑作長篇──『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 - 基本読書
  • 早川書房の1500作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する - 基本読書

    三体Ⅱ 黒暗森林(上) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメの作品を一部紹介してみよう。早川書房は定期的に電子書籍セールをやるが、前回の大規模なものは確か2020年3月頃の1000点セールだったので、セール対象は増えていることになる。なんと、先日完結したばかりの『三体』も、さすがに完結巻は対象ではないけれども第二部までがセール対象。 amzn.to まずはSFから紹介する。 三体 作者:劉 慈欣早川書房Amazonまずは早川といえばSFということで、SFから紹介してみよう。目を引くのはやっぱり『三体』である。先日三部作全体の紹介を書いたばかりだが、文化大革命からはじまり異種知性とのファースト・コンタクトが描かれる比較的現実路線の一巻。ファースト・コンタクト後、人類最高峰の知性が異種知性に

    早川書房の1500作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する - 基本読書
  • 進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』 - 基本読書

    生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む 作者: Jonathan B. Losos,的場知之出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2019/06/01メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る生命の進化の歴史は偶然に支配されている。たとえば、とある巨大な隕石が地球に落ちて”こなかった”、そして、恐竜がそのままの形で生存していたとしたら、今とは全く違った光景がこの地球上に広がっていたと多くの人は考えるだろう。スティーヴン・グールドは著書『ワンダフル・ライフ』の中で、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろう、といい、多くの人に受け入れられた。 だが、一方この宇宙、それに地球は一定の物理法則に支配されているから、泳ぎやすい形、動きやすい形というものが決まっている。空を飛ぶ動物はいくつかの形の翼と飛び方に収斂していくし、高速で泳ごう

    進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』 - 基本読書
  • 分子生物学の博士号持ちの著者による中華SF──『沈黙の遺伝子』 - 基本読書

    沈黙の遺伝子 作者: 黄序,望月暢子出版社/メーカー: 浙江出版集団東京発売日: 2018/01/17メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『沈黙の遺伝子』は、アメリカで分子生物の博士号を取得した専門家で、今はマサチューセッツ州衛生局につとめる黄序(こうじょ)によるSFサスペンス。 コロンビア大学へ留学している中国人の江夏(ジアンシア)が、自身の所属する研究室で行われる夢記録装置の人体実験の被験者となることで、秘されていた江夏の記憶が明らかとなり、また同時に彼に埋め込まれていた100年にもおよぶ長い期間に渡る陰謀の記憶と実態も明らかになっていく──といった感じの内容で、時間SF的な要素も、歴史的な要素も、ロマンスもあり、といっぱい含んだテンコ盛りの内容だ。 夢記録装置というのは完全なるフィクションではなく、実際に現実でも研究が進められ、成果もきちんと上がっている。フィクションでも

    分子生物学の博士号持ちの著者による中華SF──『沈黙の遺伝子』 - 基本読書
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