「レンガを積むが如く」 (株)時評社発行 月刊『留学交流』2009年12月号より (PDF版) 迷いと決断 宇宙工学への情熱に駆られ、勢いに任せてマサチューセッツ工科大学(MIT)の大学院へ願書を出し、幸運にも合格通知を貰ったのが、今から五年前、僕が大学四年生だった年の二月だった。しかし「合格」とはいえども、ファンディング(学資補助)無しの中途半端な合格だった。 アメリカでは、工学、理学、経済学などの研究を主目的とする課程に在籍する大学院生は、fellowship (大学が給付する返還義務の無い奨学金)、RA(Research Assistantship)、TA(Teaching Assistantship)などの形で学費を免除され、生活費も月々の給料でカバーされるのが一般的である。学資の工面をする必要なしに、最高の環境で研究をし学位を取れるとなれば、世界中から優秀な学生がアメリカへ集まっ