社会と同様に、公共インフラもまた〝高齢化〟が進んでいる。道路、橋脚、トンネル…。見回る自治体職員の手数にしても、決して潤沢とはいえない時代。高級車のメルセデスベンツを駆っていた女性はある日、道路上の大きな陥没にタイヤを取られ、修理代金や代車のベンツの費用など高額な出費を強いられた。このため訴訟を起こして国家賠償を求めたが、道路管理者の自治体側は管理瑕疵(かし)については認めたものの、適切に運転していれば事故は回避できたと過失相殺を主張。さらに代車も国産で十分だったと訴え、法廷で双方が激突した。 師走の災難 裁判の記録などから経過をたどる。 平成26年の師走、会社経営者の夫を持つその女性は大阪府北部をベンツで走行していた。 時刻は午後9時50分。川沿いに位置する幅約3.6メートルの一方通行の市道に差し掛かった。現場は街灯もなく、暗くて見通しは悪い。 女性は時速約20~30キロで走行。前方を走