「綾子さんがこの旅館をやっていくなら 綾子さんがやりたいと思うことをしたほうがいいですよ。」 そう 言って 11年前に旅館を継ぐ覚悟をしたわたしに そして その場にいたみんなにアドバイスをしてくれたのは 飯野賢治さんでした。 2月になると 3年前の2月20日に急逝した 飯野さんのことを思い出します。 ちょうど11年前に 飯野さんの その言葉から 現在に至る「時の宿すみれ」の宿作りが はじまりました。 当時 わたしは父が癌を患ったことから 東京から二人の息子と 米沢に戻ってきていました。父が亡くなってからの3年間は実家のレストランのフロントで受付や会計に関わる仕事をしていましたが 祖父母の後を継いで叔母が経営していた旅館の仕事を手伝うようになり 同時に旅館のこれからを 見つめ直すプロジェクトも兄弟やその会社のメンバーと共に進めていました。 プロジェクトでは 昭和55年からの創業にかかわった祖