「スバル」で知られる富士重工業の株価は12月2日に5223円の上場来高値をつけた。吉永泰之氏は2011年6月に社長に就任したが、同社の株価安値は402円(11年11月24日)だった。その後は右肩上がりの上昇を続け、4年間で13倍に高騰した。新規上場したIT企業などではなく、1960年に上場した重厚長大産業の典型である自動車メーカーの株価が、空前絶後の大化けをしたことになる。 「小さくても存在感のある会社を目指す」。吉永泰之は同業他社と違うことばかりをする業界の異端社長である。独自の技術で「オンリーワン」商品を開発して、トヨタ自動車など大手メーカーとの違いを際立たせることに成功した。 業績は絶好調だ。16年3月期中間期決算の売上高、利益とも過去最高を記録。連結売上高は前年同期比22.2%増の1兆6015億円、本業の儲けを示す営業利益は同53.6%増の2851億円、純利益は同70.9%増の19