題名としては、今では「お江戸日本橋」のほうが有名である。 天保期の「はねだ節」を元にした歌と言われ、日本橋を早朝4時に出発して東海道の旅に出る道行の歌。各宿場の特色を折り込んで、長いものでは40番ほどのものもある。特に遊郭関係の紹介には熱心で、こちらへ、こちらえどうぞ、と誘うリフレインがあることからも、これがかつての男たちの旅の「ガイド・マップ」、遊び歌だったことがわかる。 お前まちまち蚊帳の外 蚊に食はれ 七つの鐘のなる迄は こちやかまやせぬ かまやせぬ(元唄) 一、 お江戸日本橋七つ立ち 初上り 行列そろへてあれわいさのさ こちや高輪夜明の堤灯消す コチヤエ、コチヤエ ニ、 戀の品川女郎衆に袖ひかれ 乘りかけ御馬の鈴ケ森 こちや大森細工の松茸を コチヤエ、コチヤエ 三、 六郷わたれば川崎の萬年屋 つると龜とのよね饅頭 こちや藭奈川急いで程ヶ谷へ コチヤエ、コチヤエ 四、 馬入わたりて平