日本の人事管理は、終身雇用制度、年功序列制度で成り立ってきたといわれることがあります。ここでいう制度は、法律や規制で作られたものという意味合いのみならず、日本のビジネス社会で慣習や規範となっている方法という意味合いも含まれています。職能資格制度といえば、意図的に作られた制度ですが、終身雇用制度は、日本の社会の発展とともに自然にできあがってきた制度とか規範といえるかもしれません。後者を含む広義の「制度」を、人々が共通に持っている了解だとしましょう。このような定義に従えば、意図的に作られた制度でも、それが形骸化して実質的に機能していなければ、ここでいう制度には含みません。 さて、青木(2014)は、こういった「制度」の形成や変容は、経済学のゲームの理論を用いて説明が可能であるといいます。そもそも、経済学のゲーム理論は、微積分のような自然科学から借用された分析方法ではなく、人間の相互作用の結果の