夫である三浦朱門さんを在宅介護で看取ってからというもの、一人になった作家・曽野綾子さんは静かに、慎ましく生きてきました。歩んできた歳月に思いをはせ、人間の優しさと悲しみ、人がこの世に生まれてきた使命とは何かを見つめる日々。そして90歳になってたどり着いた境地……。曽野さんがつづってきた言葉を厳選して編んだセブン‐イレブン限定書籍『人生の意味』が刊行されました。同書より、そのエッセンスを特別公開します──。 ※本稿は、曽野綾子『人生の意味』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 人の世の不平等に悩むあなたへ 「人生の勝ち負けに単純な答えはない」 人間の勝ち負けというのは、そんなに単純なものではありません。私たちが体験する人生は、何が勝ちで何が負けなのか、その時々にはわからないことだらけです。 数年、数十年経ってみて、もう死の間際まできて、やっとその答えが出るものも多い。永遠に答えが出