今年もたまごまごさんに原稿を依頼しました。今回は、昨年から話題騒然の阿部共実特集です。先日、代表作『空が灰色だから』の最新刊と、最初期からの短編を集めた作品集『大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集』が刊行されました。読者の不快感を煽るような独特の表現を用いて、社会生活の不安を描く阿部共実の魅力とは何なのでしょうか。 阿部共実の作品を最初に読んだとき、つよく印象にのこったのは虫でした。 虫には「群体で行動することが多く、単体で生きていくことができない」というイメージがあります。 群れの中で何らかの役割をになって、初めて生きていけます。 でも人間は違う。一人でも生きられる。ゆえに、自我がある。 自分は他人と違う。社会と違う。一個人である。こうやって認識することで、「自分」を考えるきっかけができる。 それが、阿部共実作品ではゆらぎます。 強烈な自意識過剰と、自他の境界線の崩壊。自分はこう思っ
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