【裁く時】第3部判断の重み(3)刑務所か少年院か 見逃した矯正の機会 (1/3ページ) 2009.5.23 22:01 あまりにもあっけない決定だった。 昨年10月、大阪地裁で行われた模擬裁判。小さいころから父親に暴力をふるわれて育った少年が、仲間と一緒に路上強盗をして被害者に大けがをさせたという設定だ。この少年に、刑務所での刑罰を科す刑事処分にすべきか、それとも家裁に移送したうえで少年院などで矯正教育を施す保護処分にすべきか。これが最大の争点だった。 裁判官3人と裁判員6人による評議の冒頭、1人の裁判員が問いかけた。「暴力的な家庭で育ち、性格がねじ曲がった少年にどんな教育をすれば更生するか、イメージできますか?」 傍聴していた元家裁判事、井垣康弘(69)は「保護処分がふさわしい」と感じていた。だが、裁判員全員が「イメージできない」として刑事処分を決定、議論は量刑に移された。 「少年刑