「原爆の父」ことJ・ロバート・オッペンハイマーの生涯とその時代について描かれた、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』は高い評価を得ている。 一方で、原爆の父の物語でありながら、その原爆の被害にあった日本人が映画内にまったく出てこないのはどうなのか、との指摘もある。 アメリカによる広島と長崎への原爆投下は、戦争を終わらせるのに本当に必要だったのかーーという、原爆後の戦後史において「最も重要な議論に対峙していない」と、米誌「マザー・ジョーンズ」はノーランを批判している。 無論、ノーランは「大量破壊兵器を使用することは悪いことだ」との考えを表明している。 だが、同作品内でノーランは「“日本への原爆投下に正当性はなかった”という考えへの支持を明らかにしていない」ため、「太平洋戦争を終結させてアメリカを救ったのは、オッペンハイマーが発明した2発の爆弾だった」という物語にも読み取れるとい