【上海・隅俊之、北京・成沢健一】200人以上が死傷した中国浙江省温州市の高速鉄道事故をめぐり、中国当局が報道規制をさらに強め、中国メディアの鉄道当局への批判が一気にトーンダウンしてきた。当局の通知を振り切る形で異例の独自報道を展開してきたメディア関係者は、インターネット上で悔しさを吐露している。 中国メディア関係者によると、中国共産党中央宣伝部は事故翌日の7月24日、独自報道を控え、国営新華社通信の記事を使うように国内メディアに通知した。だが、当局が事故車両を地中に埋めたことや運転再開を急ぐ姿勢を見せたことにインターネット上で批判が噴出し、中国各紙も背中を押されるように独自取材に基づいて事故を大きく扱ってきた。 ところが、宣伝部が29日夜、「国内外の世論は複雑になってきており、沈静化に努めなければならない」とする新たな通知を出すと状況は一変。30日付の北京紙「新京報」は1面トップに高速鉄道