「panpanya という漫画家は実在しない」 と、母から教えられたのは小学校に入るか入らないか、とにかくそんな時分でした。 そりゃあショックでしたよ。これまで信じてきた世界を突然崩されたのです。納得できるものではありません。 当然、わたしは「じゃあこのマンガは誰が描いたの?」と『足摺り水族館』を指差して母を問い質しました。 すると母は微笑んで(そう、大人が世間知らずの子どもを見下すときに浮かべるあの笑みです)、 「『楽園』のマンガはみんな位置原先生が描いてるのよ」 と言います。 「えっ、じゃあ。イコルスンも?」 「そうよ」 「黒咲練導も? kashmir も? シギサヤも?」 「全員そう」 「鶴田謙二もなんだ……」 「エレキテ島が出ないのはそのせいね。忙しいから」 「そうか……すごいな……位置原先生は……」 そう、位置原先生はすごい。位置原先生の新刊をみんな読もう。 先輩の顔も三度まで