「あなたはなぜダーウィンについて語り、なぜマルクスとエンゲルスから例を挙げないのか? マルクス主義とは唯一の科学である。ダーウィニズムは一部にすぎない。真の世界認識論をもたらしたのはマルクス、エンゲルス、レーニンなのだ。 ーージョレス・メドヴェージェフ『生物学と個人崇拝』 血液クレンジングやガン民間療法など、今も疑似科学のニュースは後を絶たないが、かつて国ぐるみで疑似科学を礼賛していた国家があった。 スターリン・フルシチョフ時代のソ連は「ブルジョワ的だ」という理由で生物学と農学を全否定し、共産主義イデオロギーに合致した疑似科学を「真実の科学」と礼賛した。 中心となった疑似科学者の名は、トロフィム・ルイセンコ。ルイセンコは科学者としては凡庸どころか三流だったが、急速に勢力を伸ばして生物学界を牛耳り、「ルイセンコ主義」という疑似科学の狂信が40年近くも続いた。なぜこんな事態になってしまったのか
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