今から9年ほど前のこと。留学先の北京のある大学の図書館2階で勉強していると、窓の外で見慣れない一団が学内を見学しているのが見えた。やや浅黒い顔、おそろいの白っぽい民族衣装風の服。彼らを見て、なじみの図書館職員のおばさんがなぜか嫌そうな顔をしていたので、「朝鮮(北朝鮮)?」と声を掛けてみた。「越南(ベトナム)」と、うんざりした様子で答えた彼女の顔を今もはっきり覚えている。 32年前の1979年、中国とベトナムは同じ社会主義国同士にもかかわらず、激しく憎み合って戦火を交えた。双方とも「自分が勝った」と言っているが、文化大革命にうつつを抜かしていた人民解放軍が対米戦争を戦い抜いたベトナム軍相手に大損害を出し、わずか1カ月で事実上撤退した、というのが大方の見方になっている。たった1カ月間で双方合わせて数万人の死者を出し、その遺恨のせいで両国関係は04年の首脳相互訪問まで冷え込んだ。 今月初め、双方