現在、日本における年間の自殺者は3万人を超えている。1998年以降、11年連続で3万人超を記録し、08年の自殺者数は3万2,249人と報告されている。人口における自殺者の割合は世界第6位で、先進国の中では第1位である。 ここにも、死のうとしていた女の子がいた。『いち、にの、さん。』は、20歳の新進作家、実谷蒼依(みたに・あおい)氏が、自身の体験を赤裸々に綴った私小説だ。実谷氏は、小学校中学年から学校を休みがちになり、登校拒否、自傷行為を繰り返す。学校になじめず、両親とはいさかいが絶えない。学校にも家庭にも居場所を見出せない彼女は、徐々に精神の均衡を失っていき、ついには……。ローティーンの女の子の心理描写を中心に描かれ、私小説というより自叙伝、日記に近い。 「愛して」「認めて」――。”私”の言葉は未熟だが、真摯である。学校生活からドロップアウトした少女の心のひだを丁寧に綴っており、自傷の場面
![登校拒否、リスカ…… 死にたがりやの少女の成長記『いち、にの、さん。』](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ef7f7086e8be3543037a3aac24d113e124ff002a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.cyzo.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2019%2F06%2Fcyzo_logo.jpg)