【台北=冨名腰隆】5月の日台漁業委員会で、日本側が、双方の操業を認める一方で日本による取り締まり権限を放棄していない「特別協力水域」で、具体的なルールがないままに操業する台湾漁船の拿捕(だほ)などを明言していた。協定締結後、台湾漁船が自由に操業する状態が続いており、日本が有効な対抗策を打てない現実が改めて浮き彫りになった。 日本政府は、中国と対立する尖閣諸島問題で優位に立つため、同諸島の領有権を主張する台湾に接近、大幅譲歩する形で漁業協定を結んだ。首相官邸主導で合意を急いだことが、現場の混乱を招いた。沖縄県の漁業関係者は反発している。 同委は4月の日台漁業協定で、具体的な操業ルールの設定を目指して設置された。5月7日、台北市内で開かれた初の会合で、水産庁の須藤徳之資源管理部長(当時)が特別協力水域について「具体的な事が決まるまで、(台湾漁船は)操業できない。拿捕は排除しない」と強調。海上保