[第1回] ソレって「ある」?、それとも「ない」? ソレを「ある?」と聞かれて「あります」と答えられる人が何人いるだろうか。「ある」と言うと嫌味だけど、「ない」と言い切るのも少し寂しいような。あるいは、「私にはありますよ」と言った時点で、ソレが「ない」ことになるのでは。そもそも、ソレの定義は何なのか。 わかりにくい書き出しですみません。でも、「ソレ=教養」って非常に難しいテーマだと思いませんか。人によって見方が違うし、だいたい「キョウヨウ」なんて口にするのすら恥ずかしい。下手に書けば「偉そうに」と言われそうだし、欧米の事情を紹介することで「西洋かぶれした輩(やから)だ」と思われるのも困る。 多数の教養人が輩出したイタリア随一の国立大学、ピサの「スクオーラ・ノルマーレ・スーペリオーレ」の幾何学授業。「ここは本当にイタリアか?」と不思議になるほど静かだった=大友良行撮影 もともとは、日本の受験