学べば学ぶほど、奥が深い薬の世界。もと製薬企業研究員のサイエンスライター・佐藤健太郎氏が、そんな「薬」についてのあらゆる雑学を綴るコラムです。薬のトリビアなどを伝えられると、患者さんとの距離も近くなるかもしれませんね。 ウェブや雑誌の広告などで、「水素水」の文字を目にする機会が増えてきました。DNAや脂質など、重要な分子を破壊する活性酸素を消してくれるというのが、水素水の売り文句であるようです。大手飲料メーカーや日本を代表する家電メーカーも水素水商戦に参入するなど、ブームは広がりを見せています。 しかし最近、科学者などから「水素水はニセ科学であり、効果は期待できない」といった批判の声が次々と上がっています。批判の論点は、おおむね次のようなところです(なお、水素関連商品にもいろいろありますが、ここでは水素ガスを水に溶かした「水素水」に絞ることにしましょう)。 (1)水素は水にほとんど溶けない