家族のかたちは、この半世紀で激変した。「核家族」どころか、子どもを持たない夫婦や、成人した子どもと同居しない高齢者も増えた。世田谷区では、もっとも多い世帯は「一人暮らし世帯」だ。44万世帯の約半分、22万世帯となる。ところが、行政から市民・区民を見た時には、あいかわらず「標準世帯」をモデルにしたイメージが支配している。つまり、「夫妻・子どもふたり」の4人が標準というやつだ。本稿は、参議院選挙結果が出ていない7月16日に書いたものだが、この点の政策議論が進んだようには見えない。しかし、通りすぎることの出来ないテーマである。 4人家族の幻想 「血縁」に代わるもの 1982年に刊行された『日本国憲法』(小学館)は今年、復刊して累計100万部を超えたといいます。日本国憲法の条文を29枚の写真とともに紹介しているのですが、そのなかの印象深い1枚に、裸で露天風呂に入っている4人家族の写真があります。