国籍法第3条第1項の改正との関係で,同項による国籍取得の要件としてDNA鑑定での父子関係の立証を要件にせよとの声も上がっているようです。しかし,そうしてしまうと困るのは,強制認知との関係です。 例えば,日本国籍を有する男性Xと日本国籍を有しない女性Yが一時同棲状態となり,その間,Yは妊娠し,そのことを告げるやXはYの元から逃げ出していったというありがちな事例を考えてみましょう。YはZを出産し,Zの法定代理人として,Xに対してZを認知せよという訴訟を提起したとします。 現行法上は,所詮民事訴訟にすぎない認知請求事件でDNA鑑定のための細胞採取等を強制する手続はありませんので,XがDNA鑑定を拒んだ場合,Yにはこれをなす手段はありません。ただし,そのような科学的裏付けが得られなかったからといって認知請求を認容することは可能ですので(東京高判昭和57年6月30日判タ478号119頁),Zを妊娠し
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