季村敏夫「今できることから」(「やまかわうみ」創刊号、2011年06月15日発行) 季村敏夫「今できることから」には「神戸の震災から学んだこと」というサブタイトルがついている。東日本大震災後に書かれたものである。 季村は阪神大震災の後『日々の、すみか』(書肆山田)というすばらしい詩集を書いた。季村の、その詩集のすごさは、「祝福」という詩のなかに、 出来事は遅れてあらわれた。 と、正確に書き記したことである。 阪神大震災が遅れてあらわれた? 冗談じゃない。早すぎた。つまり、予想もしないときに、阪神を襲ったのではないのか。 だが、季村は「遅れてあらわれた」と書いたのだ。 出来事は遅れてあらわれた。月夜に笑いがまき起こり、その横で顔を覆っている人影が在った。思いもよらぬ放心、悲嘆などが入り混じり、その後、私達のなかで出来事は生起した。 阪神大震災は、起きた直後には何が起きたかのか誰にもわからなか