東日本大震災では、多くの文化財が被災した。文化庁は直後から救済活動に着手したが、いまだ手つかずの地域もある。今後、どういう方針で救済に臨むのか。「文化財保護法の制定以来、最大の試練」という近藤誠一・文化庁長官に聞いた。【岸桂子、栗原俊雄】 ◇民間と連携、来年度も継続したい --震災後、被災地に入りましたか。 ◆4月に仙台市、東松島市に。浜はがれきそのもので、気が遠くなった。がれきの中にも文化財がある。地元の専門家はどこになにがあるか把握している。一刻も早く救済に着手したかった。 --直後から、文化財、美術関係団体と協力し、レスキュー事業を始めましたね。 ◆阪神大震災の教訓もあって、起きた瞬間から考えた。10月末までに官民共同で、のべ3925人が救済活動をした。だが、とても1年では終わらず、来年度も継続したい。ただ地域によって被災の状況は異なるし、アクセスが困難なところもある。人も資金も限ら